2017年08月17日

食で進める「働き方改革」(株式会社おかん 沢木恵太さん)

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政府や民間企業、様々なレベルにおいて進められている働き方改革。そのアプローチは就業規則の改正や業務の見直し、IT機器の導入など様々だ。そんな中、食によって働き方改革を進めるというユニークな取り組みが注目されている。

東京都渋谷区にある株式会社おかんは、法人向けに簡易社食サービスを提供するベンチャー企業。契約企業の職場に小型冷蔵を設置して、定期的に健康志向の総菜を送り届けている。

先日開催された「働き方改革」共創ワークショップでは、同社の沢木恵太社長が登壇。同社の「働き方改革」へのアプローチについてプレゼンテーションを行った。

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朝活促進のインセンティブ

沢木氏はプレゼンテーションの中で、「朝活に取り組む企業が増えています」と紹介。朝活とは、朝早く起きて、仕事や勉強、趣味、体力づくりなど、様々な活動に取り組むことの総称だが、同氏の紹介した朝活とは、企業が社員に対して朝早く出社して業務をすることを促し、その分、残業を減らそうという取り組みだ。

日中よりも早朝に仕事をすることは、単に勤務時間が早朝にシフトするということだけでなく、生産性や創造性が高まるとして関心が集まる一方、どうやって社員に早期出社を促すかという課題もある。

そこで、沢木氏の会社、株式会社おかんが提唱しているのが、早期出社をした社員は朝ごはんが無料となる制度を作ることだ。具体的には同社の「オフィスおかん」の総菜を社員が朝ごはんのおかずとして社内で食べれるようにする。

このようなインセンティブを導入したことで、社員の早期出社が促進され、長時間労働の削減につながった事例が増えているという。

夕食サポートとワークライフ・バランス

また沢木氏は意外な形で「働き方改革」につながっている事例も紹介した。

もともと、同社のオフィスおかんは社内で食事をとれるためのサービスであるが、導入企業の社員の中には、退社時に同サービスのおかずを購入して帰る人もいるという。

子育て中の社員などでは、仕事と家事の両立は大変なことが多い。仕事が終わってから、保育園に子供をお迎えに行き、さらに夕食の食材を買いにスーパーに立ち寄り、家に帰って料理をする。このような毎日の大変さを少しでも軽減したいと思っている人は少なくないだろう。

そのような背景もあり、同社のサービスは本来意図していた社内での食事サポートの範疇を超えて、ワークライフ・バランスの支援にまでつながっているようだ。

仕事のパフォーマンスの向上

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さらに沢木氏は、食を通じて企業の生産性が向上することにも言及した。

最近注目されている言葉にアブセンティズムとプレゼンティズムというものがある。前者は出勤状況を管理して対策を講じようとするもの。欠勤や休職、遅刻・早退といった職場にいない状況を把握して、これらを改善するように取り組むアプローチだ。これに対して後者のプレゼンティズムは、出勤しているにも関わらず生産性やパフォーマンスがあがらない状態に対策を講じようとするもの。

沢木氏は「出社して仕事はしているのに、何となくパフォーマンスが上がっていないという課題を抱える企業は少なくありません。これはプレゼンティズムの問題。」と指摘した。

このプレゼンティズムの問題は食生活によって改善できると沢木氏は主張する。

「当社では管理栄養士も在籍しているので、企業に対して食生活の改善指導も行っています」として、食を通じた健康管理の企業研修も行っていることを紹介。

「何となくぼうっとする」とか「何となく調子がのらない」といったような課題はこれまで、「もっと緊張感を持って」とか「気合を入れて」など半ば精神論的アプローチで解決しようとしていた節がある。

しかし沢木氏が紹介したように、企業が社員の食生活をサポートすることで、それがプレゼンティズムの問題の解決につながり、組織のパフォーマンスや生産性の向上につながる可能性がありそうだ。

働き方改革は自分らしく働けること

株式会社おかんのミッションは「働くヒトのライフスタイルを豊かにすること」。そこには創業者である沢木氏の想いが込められているという。

「仕事をしたくても、諦めなくてはならない状況が増えています。それを何とかしたい」と語る同氏。

結婚や育児、介護など家庭環境の変化によって、これまで従事してきた仕事を続けることができなくなる人は少なくない。そのような社会問題と仕事の両立を食によって支援したいというのが沢木氏の想いだ。

「働き方改革の根底にあるのは、自分らしく働けるようにすること」と同氏は強調する。

働き方改革というと、長時間労働の是正、同一労働同一賃金など、とかく制度面の改革に焦点が当たりがちだが、沢木氏の取り組みのように、社員ひとり一人の「自分らしさ」を大切にするというアプローチも重要なのではないだろうか。

(終わり)


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