2017年12月28日

インバウンドを地域活性化の起爆剤に(片山大介 参議院議員)

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 地方創生・地域活性化の起爆剤として期待されているのが、外国人観光客の誘致だ。日本を訪れた外国人が、地方に滞在し、文化に接することで、地方にも大きな経済効果が期待できる。
 片山大介・参議院議員は、観光戦略に力を入れ、東京オリンピック後の経済の起爆剤として、大阪に万博とIR(統合型リゾート)を誘致したいと話している。
【ビズテリア編集部】

 

進まない経済政策と観光をめぐる成長戦略

ビズテリア: 最初に、日本経済の状況や、それに対する政策をどのように見ているか教えて下さい。

片山: アベノミクスによって経済指標はおおむね上がっていますし、求人倍率など雇用に関する指標も改善しているので、一見すると、良くなったように思えます。
 しかし、それが地方に十分波及しているかというと、そうではないし、国民の間に景気回復の実感は乏しいのが実情です。
リフレ政策には一定の効果はありましたが、第二の矢の手法に問題があり、第三の矢がもたついているのだと思います。
 また、現在の社会保障や税の負担を合わせた国民負担率は42.5%ですが、第2次安倍政権発足時の39.7%から上がりました。国民の負担感は増し、消費に関する指標のほうは改善していません。さらに、再来年10月には、消費税率のさらなる引き上げも予定されていて、このまま増税してもよいのか、考え直す必要性を感じています。

ビズテリア: そういったなかにあって、インバウンド、訪日外国人の誘致は成長戦略としても期待されているところだと思います。

片山: そうですね。経済政策として大きな効果が見込まれます。観光戦略を通じて50数兆円の経済効果があると言われていて、これはGDP10%分に当たる計算です。
 ことし1年間の訪日客は2800万人に上る見込みです。15年前は500万人ほどだったことを考えると、実に5倍以上に増えた計算になります。これだけ成長している分野は少ないと思います。
 国内は、高齢化と人口減で経済のパイは小さくなっています。これを補うのが訪日客だといっていいでしょう。
 地方にもインバウンドの波を引き寄せることが大切です。
 3大都市圏(合計)と、3大都市圏以外の地方(合計)を比べると、観光客数は3大都市圏のほうが圧倒的に多いのですが、観光客の増加幅では、地方のほうが多いんです。言い換えれば、地方のほうが伸びしろがあるということです。
 地方の疲弊はアベノミクスが成功していないことが原因ですが、それを補う地方活性化としてインバウンドはしっかりと取り組むべきテーマです。

地方の観光戦略はDMO活用で欧米人をターゲットに

ビズテリア: 地方でインバウンドを伸ばしていくには、どのような方策が考えられるのでしょうか。

片山: 人数でいけば、中国人などに代表される東アジアの観光客が多いのですが、欧米からの観光客を増やすことも重要です。欧米の観光客は、遠くから来るので「滞在日数が長い」という特徴があります。地方に来てもらえれば、地方での消費が増えます。
 とはいえ、地方に呼び込むには、その地域ならではの観光資源を発掘したり、プロモーションをかけたりすることが必要です。観光庁は、いま、そうした地域の取り組みを支援しようとしています。
 「DMO(Destination Management Organization)」という言葉をご存じでしょうか?データの収集や分析、マーケティングなど観光戦略を立てる組織のことで、観光庁は、先日、全国各地の41法人を初の「DMO」に認定しました。

ビズテリア: どのような組織が「DMO」に認定されたのですか。

片山: 多くは、各地域の観光協会から移行した団体です。ただ、これまでの物産展を行うだけの観光協会ではダメで、マーケティングのプロなどを入れた団体が認定されています。
 私の地元・兵庫県の北部、豊岡市にある団体も、DMOの候補として、「兵庫豊岡観光イノベーション」を立ち上げ、観光戦略を進めています。
 具体的には、訪日客がネットにアクセスしやすいようにWi-Fiを整備し、アクセスしてきた人の属性や移動情報などをビッグデータとして集め、分析しました。
 その結果、豊岡を訪れる訪日客の傾向は、アジア圏のツアー客よりも、欧米豪からの個人客のほうが増えてきていることが分かったということです。
そこで、フランス語などヨーロッパ言語によるサービスを始めるなどして、さらに観光客を増やしています。
 客層に合わせた観光戦略はとても大切です。地方には、多くの場合、これといった商品はないかもしれませんが、農村体験など、そこにしかない文化に接することができます。これを、「モノ消費」ではない「コト消費」と呼び、こうした「コト消費」を増やすことがカギになってきます。
 観光戦略の差が、これからの10年20年で、地域の大きな差になってきます。

片山大介 参議院議員

ビズテリア: 観光地としての日本の良さというのは何でしょうか。

片山: 南北に長い島なので、山や海など多様な自然があるとともに、四季を通じて、さまざまな自然の魅力に触れることができます。これに加え、おもてなしの文化や治安の良さです。ある外国人が旅先でカメラを落とし、がっかりしながらホテルに戻ってきたら、
そのカメラが届けられていたという話もあります。こうしたことは、他の国では考えられないことで、こうした日本人の文化が、海外旅行客のリピーターを増やす原動力になっています。

地方は民泊の活用で文化体験を提供

ビズテリア: では、課題はなんでしょうか?宿泊という点では、民泊の活用はこれからですね。

片山: まず、最も困っているのはコミュニケーションと言われています。そこで、2020年の東京オリンピックに向けて、翻訳アプリの開発が進んでいます。スマホに日本語で話かければ、31の異なる言語に自動翻訳してくれる音声アプリなどもあり、円滑なコミュニケーションに一役買ってくれそうです。
 
 そして、民泊も大きな効果があると思います。大都市のホテルはどこも満室という状態で、宿泊需要は伸びています。都市部以上に、地方には宿泊施設がない。だけど、ホテルを建設するのも簡単ではない。そこで民泊の活用ということになります。民泊であれば低価格で日本的な場所に宿泊できます。
 民泊にあたっては、2つの法整備が進み、民泊についての新しいルールを定めた「住宅宿泊事業法」は来年6月に施行されます。もう一つの法は、民泊の無許可営業、いわゆる「違法民泊」の取り締まりを強化する「改正旅館業法」で、先日、成立しました。

ビズテリア: 民泊に対する地域住民の不安もあります。

片山: やはり治安については不安を感じる人はいると思います。ごみや騒音対策なども必要です。マンションの空室をいきなり民泊にするというのではなく、マンション内できちんとルールを作っておくことなどが必要です。
 地域の方々には警戒感もあるでしょう。また、防犯カメラをむやみに設置することはプライバシーの問題にだってなります。こうした課題を整理し、地域の理解を含めた不安感を取り除く仕組みをしっかりと導入していく必要があるでしょう。

ポストオリンピックは万博とIRでさらなる成長へ

ビズテリア: 訪日客は増加傾向にあることは分かりましたが、2020年の東京オリンピックでピークを迎えたあとはどうなるのでしょうか。

片山: 政府の目標、2020年に訪日客4000万人は達成できると思います。その先は、2030年に6000万人という目標がありますが、この数値は世界でもベスト5に入るくらいの数です。ですので、6000万人というのは、なかなか簡単ではないでしょう。
 こうしたなかにあって、日本維新の会は、2025年に大阪に万国博覧会を誘致することを、ほかの党や政府とともに進めています。開催地は、大阪の人工島「夢洲(ゆめしま)」で、想定入場者数は2800万人、経済効果は2兆円と試算されています。
日本のほかに手を上げているのは、フランス、ロシア、アゼルバイジャンで、4か国の
争いとなります。

 「夢洲」で、万博会場の隣に、IR(統合型リゾート)の整備も提案しています。万博とIRの相乗効果で、さらに魅力的な場所になり、関西圏全域にも大きな効果をもたらすと考えています。

ビズテリア: IRについては、ギャンブル依存症などの心配の声も出ていますが。

片山: そのことも承知しています。ですから、その不安を取り除く対策をきちんとやる必要があります。
 特に、ギャンブル依存症対策については、国として、エビデンスに基づいた対策を実行すべきと考えています。日本維新の会は、他党に先駆けて、11月に「ギャンブル等依存症対策基本法案」を提出しました。
 これは、カジノだけではなく、パチンコや公営ギャンブルなども対象としています。いまは、民間のNPOなどが積極的に取り組んでいますが、NPOなどの声も聞きながら、しっかり取り組んでいきたいと考えています

ビズテリア: ところで、万博とIRの誘致はどのくらい進んでいるのでしょうか。

片山: 万博については、政府はもちろん、各党も党派を超えて議員連盟を立ち上げ、誘致に向けて動いています。また、IRについては、大阪府と大阪市が一体となって取り組んでいます。すでに基本構想はまとまっていて、ホームページで見ることもできます。
 夢洲での万博とIRは、私の地元・兵庫県をはじめ関西圏、さらには日本全体にも好影響を与えると思います。日本を元気にしていきたいですね。(終わり)


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